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グローバル化が人類にとっての幸せか? [政治]

フランスのエマニュエル・トッドという歴史人口・家族人類学者のインタビュー記事が新聞に載っていたので、私の考え方、見方と共通することもあり、紹介したい。

政治家の指導力低下と民主主義の危機は日本のみならず、先進国共通の現象だと、彼は見ている。対比させているのが中国の政治制度だ。中国の、民主主義ではなく一党支配による強権的政治制度というところがみそだ。

これは民主主義の退廃という言葉で表され、私はそういう見方はしないが、考え方としては、同意する。同じ見方というのが、自由貿易と民主主義が長期的に見て両立しない、その理由が今の自由貿易が富の偏在を招き需要を縮小させ、格差を拡大する、というものだ。

彼は生活水準を低下させる経済の維持と、こうした経済を批判する可能性がある自由な政治的発言を許す事とは矛盾すると言っている。

どうだろう、これは、一般労働者の給与水準が下がり続けてそれが購買意欲を失わせる原因になって、経済活動に悪影響が出ているから、もっと一般労働者に利益分配しろと言っているのを無視して、株の配当や累進課税の高い層だけ減税の据え置きをした小泉元首相が自分の意見というか、アメリカの圧力に迎合して郵政民営化を推し進めようとした時の、反対が強かったのを、強引に衆院解散して郵政民営化を通したことをこのエマニュエル・トッド氏自身が見ていたような論評と思えないだろうか。

そして、そういう現象から、「自由貿易は民主主義を滅ぼす」(藤原書店)という結論を著者が導き出して、それについて書いたのだろうと容易に想像できる。

彼の提案は、現状を変えるのに必要なのは、文化的、歴史的に近い地域単位の経済協定だというものだ。協定の参加国は互いに自由貿易的に、地域外には保護主義的に振る舞うようにする。地域協定によって給与の再上昇と需要の復活がもたらされ、民主主義が閉ざされる可能性も低くなるという見方だ。デカップリングのモデルの一つとも言えるだろう。

他にも色々書いているので、興味のある方は御一読を。
原理原則論で見る私は、もっとさかのぼった話や、あるいは黒船来航についてまで考える必要性を感じているが。

そういう意味で菅直人首相が「平成の開国」なる言葉を使っていることに違和感と軽薄な印象を持つ。
TPP参加に関しても、その論議の中で競争に負けるという言葉、概念が語られた。競争は1位、2位もあれば3位、4位もある。最下位もあるのではないだろうか。勝者もいれば敗者もいるという事だ。

競争に負けないために走り続ける? どこまで? いつまで?
誰が? 何が主役なのか? 競争に参加できるほど皆が完全な状態であるのか。年寄りは? 弱者は? 

国の有り様を考え、問えば、自ずと目標というか目指す先が見えてくるような気がするが、どこからもそれについて考えたという話が聞こえてこない。
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