太平洋戦争の帰結は？

太平洋戦争について、明確になっていないことがある。もちろん、日本が敗戦となったので、日の目を見なかったと言うべきかも知れない。しかし、それでは済まない敗戦状況なのである。

旧ソ連を仲介国と見立てていたという話もあるにはある。いや、かなりその傾向は強いと見るべきだろう。だが、結果として多くの兵士をシベリア抑留という悲惨な目に逢わせた旧日本政府や旧日本軍幹部が戦争の終わらせ方についてどのように考えていたかというものが、ないのである。

もちろん、敗戦に至ってしまえば、戦争終結の仕方を考えていたとか考えていなかったとか言っても始まらないかも知れない。しかし、狂犬のように、誰にでも、どこにでも噛みついていたような感のある旧日本軍・政府がそこまで戦略的に考えていたとはとても思えないのである。

歴史に学ぶというのは、戦争の場合、激しかったり、長引けば当事国の消耗が激しく、第三国に漁夫の利をさらわれたり、当事国が消滅してしまうといった故事などを知り、戦争の仕方、終わらせ方を考え、手を打つ、そういったものが無くて、戦争はなかなかできないものである。

しかしながら、第二次大戦に至った、日本の戦争のやり方は、前線、例えば、関東軍の拡大化路線に引っ張られるとか全く、中枢のコントロールが効かない、いや、中枢に思考回路と呼べるレベルが無かったことが問題なのだが、結局、戦略無しの戦争に国民を引っ張っていった、というとても国民の安全・安心を担保すべき国軍のやった事とは思えないのである。

結局は、国軍ではなく、皇軍として、天皇陛下のために、という大義名分で、その実、天皇の権威をただただ、利用して自分たちの利を追求しただけの子供レベルでしかない戦争を行ったという事であると思う。旧ロシア時代に日本と満州の利権を取り合った過去を持つ、ソ連が体制が変わったからと、日本に友好的な国家として日本の戦争終結に協力してもらえると見る事自体で、そういう考えを主導した外交官に疑問を感じるのだが、それを誰も疑問に感じない、いや感じても口に出せないところに旧日本軍の不幸があった。

ソ満国境でのノモンハン事件など、現実に砲火を交えている相手国に、終戦の取りなしを依頼する考えは、成功すれば、意外性を持った考えと評価されるが、成功しなければ、状況判断できない馬鹿、としか見られない。そして歴史は、後者であった事を証明している。旧ソ連にも覇権主義は存在し、彼らなりに、どうやればそれを満足できるか考えていたわけである。

侵略ゲームをやっていたのは旧日本軍だけではないという事だ。それすら頭になかった、旧日本軍の稚拙さとは何だったのだろうかと思う。

中国の改革・解放が打ち出される前に、多くの日本人がビジネスだけでなく、政治絡みでも中国を訪れている。そして彼らの多くは、当時の中国の担当者に手玉にとられている。だいたい、約束の時間に中国の担当者あるいは責任者が現れた事はない。これでジリジリして日本人はたいてい頭に来るらしいが、カッカした頭で交渉ごとをしてもいい結果は得られない。

中国人は昔からこういう交渉ごとに慣れているらしい。一方、島国の日本は、国内でこそ、そういうことがあったとしても、他国同士を競争させるとか、あるいは長い時間を掛けての駆け引きに長けていない。そういう国が狂犬になったら、国を滅ぼすだけである。神国などと実体のない支柱に頼って担当者が努力を怠るから戦争に入り込んだり、負け方も知らない戦争をしたりするのである。

グローバル化を叫ぶなら、今のお上意識にどっぷり浸かった外交官は全て首にして、もっと真摯に国益を考える人達、例えば商社マンとか、あるいは、相互の利益を考えるウィンウィンの考えでやるならNGOで活躍する人達に外交を委ねた方が、よほど、外交はうまくいく。

せっかくの無様な敗戦経験を何故、日本政府・国民が生かせていないかというと、当時の無能な当事者の流れで今日に至っているからで、無能外交官の追放だけでも相当の人件費の抑制と、外交成果が上がるのではないだろうか。

軍事政権に完全に取り込まれて顰蹙を買った旧ミャンマー駐在大使のようにおかしな外交とも言えない外交を担った外交官の流れでは、戦争回避も国民の安全安心も危ういかも知れない。そういう国のお隣に、中国という好戦的な強大国家が出現しようとしている。

もっとも彼の国が、強大であり続けた歴史はない。自壊を待つ国力だけでも備えておけばいいかも知れないが。